

Rocky Mountain National Park, USA

妹の服の買い付けに一緒にアメリカへ行った。サンフランシスコ、ソルトレイクシティ、その途中で ロッキーマウンテン国立公園 に立ち寄り、最後に デンバー を歩いた。移動しながら強く感じたのは、自然の「距離感」の違いだった。日本の自然は、人の暮らしに近く、手触りがある。山や森は身近で、管理され、季節の変化も細やかだ。一方で、アメリカの自然は、ただそこに在るという感じが強い。人がどう関わるか以前に、スケールや光、空気の層が先に立ち上がってくる。ロッキーマウンテンでは、その差がはっきりした。視線は自然と遠くへ伸び、細部を見るというより、全体を受け取る感覚になる。色も輪郭も、ひとつひとつを説明するというより、環境としてまとまって立ち上がってくる。都市に戻ると、その感覚はまちの中にも続いていた。デンバーでは デンバー美術館 を訪れ、建築とまち、アートと日常の距離の近さが印象に残った。美術館の内と外、街路や大学、公共空間が分断されすぎず、文化が特別な場所に閉じ込められていない。自然も、都市も、「つくり込みすぎない」という共通点があるように感じた。完成させるというより、その場に身を置く人の振る舞いによって意味が重なっていく。その余白が、空間にも時間にも残っている。この旅は買い付けに同行したのがきっかけだけれど、海外拠点のことを考える視察でもあった。どこに拠点を置くかというより、どんな環境に身を置くと、思考や感覚がどう変わるのか。その確かめだった気がする。帰国後、英会話に通い続けている。目的を固めるためというより、旅の中で動いた感覚を、日常に戻しておきたかった。服を見ること、まちを歩くこと、自然に身を置くこと。それらは別の行為のようでいて、環境とどう向き合うかを考える、同じ延長線上にある。今は、その線を切らさないようにしている。






